W.A.Project ワジマアルチザンプロジェクト 輪島商工会議所 石川県輪島市河井町20-1 tel:0768-22-7777
W.A.project 応援コラム #1
漆のうつわとニッポンの食育
いま、食育の観点で考える天然素材の食器の真価とは。主に日本と米国で、食育の実践の場を取材し、調査や企画に携わる加納壱子さんに、日本ならではのうつわと食育のお話を伺っています。

お話の冒頭はこちらから。
ちょっと疲れたときも、漆器があれば
自分のため、家族のため、美味しい料理をつくり、盛り付け、食卓を整える。それはぜひ目指したいところですが、現実には毎日愛情いっぱいの食卓を用意するのはたいへんなことです。特に、自分ひとりだけとか、毎日3食家族のため、仕事を追えてあわただしく準備・・・という生活の中では、食事を用意する元気がでない日があっても普通です。

そんなとき、ほんのちょっとの気遣いーあたためたスープをお気に入りのボウルに入れたり、ご飯を美味しそうによそったりーが劇的に食卓を変えます。
きちんと手をかけた食事が用意できなくても、「温かいうちに美味しく食べてね」という気持ちで食卓を整えれば、あなたの愛情がきちんと食事にこめられ、家族や自分の五感に伝わります。ほんの少しの気遣いが、豊かなパワーとなって返ってくるのです。

忙しい毎日のなかで、わたしが多用しているのは漆器の魔法です。

2年前にアメリカから帰国した際、自宅の普段の食器をほぼすべて漆器にしました。10年前に病気で他界した母が、丁寧に手入れしていたハレの日用の朱赤の銘々皿と椀をひっぱりだし、日常に使っています。
アメリカの皿は全般に重くて大きく、漆器独特の軽さと柔らかさが恋しい気持ちでした。日本食のために作られた色の深みや奥行き、思わず手が選んでしまうあの感覚は、何ものにも代えられません。
また、父親が軽いリウマチのため、ほんのときおりですが食器を落として割ってしまうことがありました。わたしが気にしなくてもすまなそうにしていたのですが、漆器なら落としても割れることはないという、安心感も大きいですね。漆器づかいを楽しんでいると、雑になりがちな毎日の食事も、家族のために整えようという気持ちになります。

 日本人が千年以上かけて受け継いできた、愛情たっぷりのおいしい食事、そしてその愛情を伝え続けた漆器。漆器のチカラを借りて、愛情を込めた毎日の食事、多くの人に、どうぞ続けてほしいと思います。(07年1月寄稿)
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