W.A.Project ワジマアルチザンプロジェクト 輪島商工会議所 石川県輪島市河井町20-1 tel:0768-22-7777
W.A.project 応援コラム #1
漆のうつわとニッポンの食育
日本の食は、世界から見ると非常にユニーク。その「食文化」を構成する要素としてかかせないのが、「うつわ」の世界です。うつわを手にとり、美しい姿勢で食べることは私たちにとって食のありがたみを実感できる貴重な習慣でもあります。
食生活ジャーナリストとしてご活躍中の加納壱子さんに、日本ならではのうつわと食育のお話を伺いました。
加納壱子さん プロフィール

早稲田大学、女子栄養大学大学院を卒業後、日本農業新聞で約10年記者として活躍。2004年度、コロンビア大学教育大学院客員研究員。食育カリキュラムづくりを研究し、現在は、食や農業のジャーナリストとしてフリーで取材活動をするほか、食育事業の企画等にも携わる。
知識ではなく、「愛情」が食事を支える
みなさんは「食生活を改善したい!」と思うこと、ありますか?

お昼をファーストフードで済ませたり、毎晩飲み歩いてついつい深酒したり・・・よくないといと分かっていても、なかなか思い描くようには変わらないのが食生活。タバコと同じで、体に悪いと
“知っているだけ”では、食事はよくなりません。
食事を変えるチカラのひとつは、残念ながら“病気”です。程度の差こそあれ、調子が悪くなると日々の食事の大切さを実感します。食育カリキュラムの中でも、“病気の怖さ”を教えることは、食事を変える効果的な方法とされています。

でも、本来は病気になる前に食生活を変えたいですね。

食生活を変える大きなもうひとつのきっかけ――それは“愛情”です。結婚して新しい家庭のために、生まれた小さい子のために・・・・家族への気持ちが、劇的に食事を変えたことを実感する人も多いでしょう。
食育でも、“正しい知識”を教えることと同時に、まず、誰かのため(自分のためも含めて)にこうしたい、こうするぞ、という気持ちを持ってもらうことは大切なことです。
日本食の特徴に目をむけると・・・・
メタボリック症候群や、幼児期からの食事の乱れなどの問題が指摘されている日本の食生活。
日本でみていると悪いところばかり目に着くのですが、日本型の食生活の良さは、世界から認められています。いまも世界有数の長寿国であることは確かで、平均的にみた栄養のバランスのよさなどそのポイントが指摘されています。

その背景には、栄養バランスを精神面から支える日本独自のすぐれた“愛情の込め方”があるとわたしは考えています。
懐石料理でも普段の食卓でも、
日本人が育んできた食文化は、“愛情”や“もてなす心”と深く関わっています。そしてそれを具体的に表すもののひとつが器――なかでも日本人が使い続けてきた漆器には、他国には見ることの出来ない不思議なチカラ、食事を大切な気もちで温かく包む魔法のようなものを感じます。
日本の食事の独特なところは、だしのうまみを大切にすること、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく――と適温を保つことを大切にすること、味だけでなく見た目(視覚)や器の持った感じ(触覚)を大切にすること、があげられます。食べるひとへの細やかな気遣いがたどり着いたところです。

日本の栄養教育・食育の研究を長年リードしてきた女子栄養大学の足立己幸名誉教授らは、食事づくりに関わる行動を、多面的に分析してきました。その中で、見逃しがちな“食卓を整える行動“の大切さを指摘しています。1人分として売られている総菜や弁当、インスタントのスープなどは、場合によっては多すぎたり少なすぎたり・・・食べる人の状態をみて盛り付けを加減することは、食品メーカーや総菜屋さんにはできません。どんなに美味しい出来合いの料理でも、最後に“食卓を整える”ことは、食べる人、食べさせる人にしかできない大切な行為です。逆にいえば、お総菜を買ってきても、盛り付けるときに愛情を込めることができるのです。
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